今回、象牙製の置物の査定依頼をいただきました。
象牙はご存知のようにワシントン条約で国際取引が規制されており、日本国内においても取引に様々な規制が設けられている希少な商材です。
銘の重要性
この置物は高さ20センチ程で、台座の裏に「友一」という銘がある逸品になります。
「友一」というのは、加納友一という有名な彫師の銘になります。
表情が豊かで農夫の人の良さが滲みでていますね。
衣服も繊細な彫線で細かく表現されています。
こういった工芸品や芸術品の価値は、どんな芸術家によって作られたのかが非常に大事になります。
絵画等は作家によって一号あたりの価格がおおよそ決まっていて、何号サイズの絵画なのかでその絵の値段が決まるという形が多いです。
今回この象牙の置物は3万5千円で買い取らせていただきましたが、もし銘のない物でしたら評価が落ちてしまっていたかもしれません。
ご自宅にある工芸品や芸術品には作家のサイン等が描かれている物が多いので、もし興味のある方は一度調べてみるのも面白いと思います。
偽物の象牙には注意!!
象牙の話に戻りますが、今回の依頼品は本物の象牙でしたが、私たちが査定依頼をいただく象牙製品の3割以上は偽物というのが現状です。
中には30年間床の間に飾っていた彫刻入りの大きな象牙が実は偽物だったという事もありました。
象牙は古来から希少な物として取引されていたため、様々な偽物が出回る事になってしまいました。
一番多いのは練り物と呼ばれるもので、石膏などを型を使い固めて作るまがいものです。
表面が妙にツルツルしていて、なんの紋様も見られないものは練り物の可能性が高いと思います。
次に多いのは、他の動物の骨や角等を使って加工した置物等です。
象牙の根付や置物として売られていたものも、実は他の動物の骨だったりします。
素材感は似ていたりしますが、骨を使っているものは表面に小さな穴が無数に空いているもの等もありますので、ルーペがあれば確認してみてください。
本物を見分けるポイント
象牙には象牙特有の模様があります。
断面を見ると格子状になっていて、表面には斑紋様が見られます。
表面の紋様についてはプリントしている偽物も存在しますが、機械的な紋様であったりしますので、よく見れば判断できる場合も多いです。
また、象牙は硬い素材なので、エッジが効いているのも特徴です。
彫刻などの角を見たときに丸みを帯びているものは、偽物の可能性がありますのでご注意ください。
偽物の特徴を書いてみましたが、象牙の真贋判定は一般の方には難しい事も多いです。
一番確実なのは、弊社のように象牙を専門的に扱っている業者に鑑定してもらう事なので、お気軽にご連絡をいただければ幸いです。