引っ越しや物の整理などで片付けをしていると、思わぬ物を発見することがありますよね。例えば、昔使われていた旧一万円札が出てきた、ということもあるのではないでしょうか。その一万円札に聖徳太子や福沢諭吉が描かれていたら、それは現在でも使える紙幣です。とはいえ、古銭には額面以上の価値を持っているものもありますので、その場合はそのまま使うより買取してもらうとよりお得に使うことができるでしょう。
この記事では、旧一万円札の種類や特徴、買取してもらう際の相場や注意点、どんなものに高価な値段がつくのかを解説します。お手元に旧一万円札があったらぜひ、その価値を見極めてみてください。
旧一万円札は現在でも使える! ~なぜ古銭はプレミアムがつくのか?~
現在発行されていなくても使えるお金
旧一万円札は、既に発行停止されているものが2種類あります。詳しい特徴については下記の「発行停止の旧一万円札は2種類! その特徴と見分け方」の項目で解説しますが、結論から言うと、この2種類の旧一万円札は現在でも通常のお金と同じように使える古紙幣です。お札には、法律によって「無制限の強制通用力(額面で表示されている価値で、決済手段として認められる効力)」があることが定められているため、特別な措置が設けられない限りはお札として機能し続けるのです。
歴史を振り返ると、過去には紙幣硬貨ともに、さまざまな種類のお金が発行されてきました。紙幣である一円券や五円券、十円券、五十円券、百円券、五百円券などもあり、これらもまた現在でも使えます。こうして見てみると、古いお金でも使えるものはいろいろありますので、もしも詳しく知りたい場合は、財務省や日本銀行のホームページで調べることが可能です。
▼財務省:昔のお金は使えますか
https://www.mof.go.jp/faq/currency/07ad.htm
▼日本銀行:その他有効な銀行券・貨幣
https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/valid/past_issue/index.htm/
歴史ある珍しい古銭にはプレミアムがつく!
古銭にはもちろん現在では使えないものがありますが、このような貴重な古銭にはプレミアムがつくことがあります。古銭のコレクターの存在や、古銭の希少価値などによって、お金として現在では機能していなくても買取市場で大人気となるケースがあるのです。この古銭の価値は、デザインや書体の違いによって人気に差が出ることがあり、硬貨1枚が数百万円ほどの買取額になる場合もあります。
では、現在でも使える旧硬貨の価値はどうでしょうか。例えば旧一万円札のような紙幣の場合、お札は数年で傷んでしまうことが多いため、状態の良いお札は価値が上がる可能性があります。とはいえ、キレイな状態が必ずしも価値を上げるわけではありません。当時の様子を彷彿させる旧硬貨の汚れは、コレクターにとっては大切な価値になり得ます。旧一万円札は、状態だけでなく印刷ミスや記番号などによっても高額買取になる場合がありますので、さまざまな条件で価値を調べてみましょう。
旧一万円札をまとめて使うその前に! 買取してもらう選択肢もおすすめ
旧一万円札は現在でも使えるお金ではありますが、売却することによって額面以上の利益を得られる可能性があります。そのまま使うよりもよりお得に活用できる場合があるため、旧一万円札の処分を考えている方はぜひ売却する選択肢を検討してみてください。売却方法としては、古銭を扱っている専門の買取業者で取引する方法や、オークションやフリマサイトに自分で出品して売却する方法があります。
普段からネットのオークションやフリマサイトを利用している場合は、旧一万円札の出品もしやすいかと思いますが、古銭を出品する上ではデメリットや注意点もあるため気を付けておきましょう。旧一万円札の価値を見分けられないと値段の付け方が難しいほか、サイトの規定で出品できない場合もあります。そのため、旧一万円札について詳しい知識がない場合は、プロの鑑定によって正しい買取額を見極めてもらえる買取専門店を利用するのがおすすめです。
ですが、買取業者を利用する場合でも、さまざまな業者の中から自分にとって信頼できる買取業者を探すことが必要です。旧一万円札の買取相場やどのような特徴のものに価値がつくのかなど、ある程度の知識があると業者選びや売却がしやすくなるため、下記の見出しで解説する旧一万円札の特徴や買取相場、高値がつく条件などの情報もぜひ参考にしてみてください。
発行停止の旧一万円札は2種類! その特徴と見分け方
現在、発行停止になっている旧一万円札は2種類あり、聖徳太子が肖像の紙幣と、福沢諭吉が肖像の紙幣があります。後者については、発行(2022年現在)されている一万円札の肖像も福沢諭吉であるため、どこがどのように違うのか見分けるポイントをおさえておきましょう。
また、残念ながら現在でも偽札が使われてしまう事件があります。偽札かどうかを確認するためにも、旧一万円札の偽造防止技術の特徴についても合わせて調べておくと役立つでしょう。
聖徳太子の旧一万円札の特徴
聖徳太子の旧一万円札は、発行(2022年現在)されている一万円札も含めてほかと肖像が違うため見分けやすいでしょう。1958年12月1日に発行開始され、1986年1月4日に発行停止されました。寸法は、縦が84mm、横が174mmのサイズです。C券またはC号券と呼ばれる券種になります。
偽造防止技術としては、法隆寺夢殿の「すかし」が入っているほか、図柄の線が直線だけでなはく点線のような細密な線で描かれていて、壱万円の文字や肖像画は表面から盛り上がった凹版印刷で印刷されています。
福沢諭吉の旧一万円札の特徴
福沢諭吉の旧一万円札は、1984年11月1日に発行開始され、2007年4月2日に発行停止されました。寸法は、縦が76mm、横が160mmのサイズで、聖徳太子の旧一万円札よりもやや小さめに作られていて、2022年現在発行され流通している一万円札と同じサイズです。D券またはD号券と呼ばれる種類に分類される紙幣です。
最初に発行された黒色記番号のものと、1993年12月1日から発行された褐色記番号のものがあります。2022年現在発行されている一万円札の裏には平等院鳳凰堂の鳳凰像が描かれていますが、旧一万円札にはきじが描かれているため、裏面を見ると簡単に見分けることができるでしょう。
偽造防止技術としては、福沢諭吉と目の不自由な方に向けた識別マークの「すかし」が入っているほか、図柄の線が直線だけでなはく点線のような細密な線で描かれていて、壱万円の文字や肖像画は表面から盛り上がった凹版印刷で印刷されています。また、記番号が褐色のものには、虫眼鏡で見ないとわからないような「NIPPON GINKO」のマイクロ文字があり、紫外線をあてるとオレンジ色に光る特殊発光インキがお札の表にある印章に使われています。
旧一万円札の偽物に注意しよう
旧一万円札は今でも使用できることを上記で解説しましたが、近年でも旧一万円札の偽札が使用される事件がありました。一万円札は金額が高い分、偽札が作られることが多くあるともいわれています。そのため、手元の旧一万円札についても偽札の可能性を注意点として気に留めておくことは大切です。
すかしが施された偽物もあるため、デザインだけでなく記番号など、さまざまなポイントで観察しておくと良いでしょう。こういった、偽札かどうか心配なときでも、買取業者に相談する場合は正しい知識を持った買取のプロにチェックしてもらえるため安心です。
額面通りが多い? 旧一万円札の買取相場の傾向について
旧一万円札は現在でも使用できるお金ということもあり、残念ながら額面通りである一万円以上の買取価格になることは比較的まれであるのが現状です。そのため2022年現在の傾向としては、旧一万円札というだけの価値はあまり期待ができないものの、未使用のお札で状態が良くキレイなものはプラス2,000円程度での買取になる場合があります。
また、聖徳太子の旧一万円札は、未使用のお札で状態が良くキレイであることに加えて、記番号の最初のアルファベットが一桁の前期のものは、ほかと比べて価値が上がる場合が期待できます。これ以上価値が上がる場合については、下記で解説する希少価値のある旧一万円札の特徴をぜひチェックしてみてください。
旧一万円札を買取に出す前の注意点~余計な手入れはしないこと~
美品は価値が高い、と聞くと少しでも手入れをしてキレイにしたくなるかと思いますが、基本的に古銭は手入れをしない方が良いとされています。手入れによって傷が付いてしまうこともあり、かえってダメージを与える危険があるため、余計な手入れはしないようにしましょう。コレクターにとっては汚れも価値になる場合があることも、覚えておきたいポイントです。
紙幣については、現在流通しているものについてピンとさせるためにアイロンをかける方法などが紹介されている場合もありますが、お札が傷む・変質するなどの懸念があるためこのような処置はせずそのままの状態で買取に出すのがおすすめです。
希少価値に注目! どんな旧一万円札なら高値買取になる?
未使用で状態が良いという条件だけでは大幅に買取額を上げることは難しいものの、珍しい特徴のある旧一万円札になると話は変わり、価値が格段に上がる場合があります。そのため、希少なものかどうかの確認は必ず行いましょう。希少な旧一万円札の概要については、下記に種類と特徴を一覧でまとめましたので参考にしてみてください。
エラープリント
エラープリントは、エラー紙幣と呼ばれる種類で、印刷ミスのある旧一万円札を意味しています。印刷ミスの例としては、印字が抜けている、印刷がずれている、印刷が二重になっている、インクのにじみがある、などが挙げられますが、このようなプリントミスがあると、旧一万円札に数十万円から100万円を超える買取額がつくことがあります。
福耳
福耳もエラー紙幣と呼ばれる種類で、こちらは印刷ではなく裁断の過程でミスがあったものです。本来は長方形の紙幣ですが、裁断が完全ではなく角に余分な紙が付いたままになっている場合があり、このような状態のものは福耳と呼ばれています。昔は製造時の確認漏れなどで流通することがありましたが、製造技術が発達した現在ではなかなか見られない現象です。そのため、希少な旧一万円札として、買取額もプレミアム価格になる場合があります。
AA券・ZZZ券
AA券とZZZ券は記番号に特徴がある紙幣で、Aで数字が挟まれている旧一万円札と、ZZとZで数字が挟まれている旧一万円札のことです。Aの場合は、最初に製造されたものであることを示していて、Zの場合は最後に製造されたものを示しています。Aの場合は、数字が一桁の若番号のものはさらに希少価値が期待できます。
コレクターの人気を得ることがあり、買取額がプレミアム価格になることもあるのが魅力です。数万円から10万円程度の価値があり、未使用など状態が良ければ10万円を超える買取となる場合もあるといわれています。
特徴のある記番号
記番号では、特徴のある数字によって価値が上がる場合があるため、数字の並びも見落とさないようにしましょう。すぐにわかりやすいものには、トップ番号や一番数字とも呼ばれる「000001」や、「111111」や「777777」などのゾロ目になっている番号、「100000」や「200000」のようなキリ番とも呼ばれるキリの良い番号があります。
ほかに、「123456」や「456789」のように数字が連なった階段と呼ばれる番号や、「122221」や「200002」のように最初と最後が同じ数字で、中央の同じ数字を挟んだ形になっているサンドイッチ番号、なども人気があります。
このような番号のものは数万円での買取となることがあり、未使用など状態が良ければ10万円を超える場合もあります。ラッキーナンバーの7や末広がりの8など、縁起の良い数字の場合はほかの数字よりも価値が期待できる場合があるため、合わせてチェックしてみてください。
旧一万円札が額面通りの場合はどうしたらいい?
もしもお手元の旧一万円札の価値が額面通りのものだった場合は、買取業者に買い取ってもらったり銀行などで両替をしたりする方法がありますが、その際には、手数料によって手取りの金額が額面以下になってしまわないように注意しましょう。
買取業者の買取では、店舗での買取のほか、宅配買取や出張買取などの依頼に対応しているところもあります。あらかじめ利用する買取業者の査定手数料やサービス利用手数料の金額や、銀行での両替手数料の金額などを確認しておくと安心です。無料で利用できる場合は、損をせずに手元の旧一万円札の価値を引き継ぐことができるでしょう。
または、旧一万円札をそのまま保管してコレクションとして楽しむ方法もあります。価値や今後の買取相場は変動する可能性もあるため、保管しながら新たな機会を待つのもひとつの方法です。
日本の歴史を感じられる旧一万円札、本当の価値を見つけよう
旧一万円札の価値が高くつくことは珍しいケースではありますが、買取専門店の査定などで本当の価値を知っておくことは大切です。
お札1枚でも日本の歴史を感じることができますので、金額面での価値を知った上で、自分にとっての価値を考えてみてはいかがでしょうか。