日本は、古くから工芸品の素材として象牙が使用されてきました。日本だけでなく、世界的に象牙は工芸品として使用されてきたのです。
しかし、ワシントン条約によって、象牙の国際的な取引が原則禁止となっています。これは、象牙を取得するために多くの象が殺され、生息数が激減したからです。
しかし、実は象牙の密猟や密輸は今でも存在しているとされています。さらに、日本の象牙市場も密輸に関係しているとの見方をされることがあります。そのため、日本でも密輸への対策を行っているのです。今後さらに象牙の密漁・密輸に対し、厳しい処置をしていくと見られています。
象牙の国際取引禁止と密輸について
ワシントン条約で国際取引が禁止へ
日本だけでなく、世界的に工芸品の素材として使用されてきた象牙ですが、取得するためには象を殺す必要があります。
その結果、象牙を採るために多くの像が殺されることになり、アフリカゾウの生息数が減少したのです。絶滅の可能性まである状況となったことで、1989年にワシントン条約によって、象牙の国際取引が原則禁止となったのです。
アフリカで象が増え、間引きが必要となったことで、1999年に日本向けに1度のみ貿易がされています。しかし、これは1度のみの貿易であり、その後は再開されていません。
お金目的で密猟・密輸が相次ぐ
ワシントン条約で国際取引が不可能になった象牙ですが、象の密漁や密輸は未だに行われています。理由は簡単で、お金になるからです。
ワシントン条約によって、象牙は国際的な取引ができなくなりました。その結果、象牙を使用する文化がある国では、希少価値が高くなり、さらなる需要が求められるようになったのです。
そのため、高値で売ることができるので、密漁や密輸が相次いでいるのです。
テロや戦争と象牙の関係も…
象牙の密輸については、テロリストや武装勢力が関係しているケースもあります。アフリカでは、武装勢力が存在している国もあり、その武装勢力の資金源のために象牙を密輸しているケースがあるのです。
そのため、国際的には、テロ組織や武装勢力の撲滅のため、象牙の取引を禁止するべきという風潮があります。実際に、アメリカのオバマ大統領(当時)は世界各国に象牙の国内市場禁止を呼びかけており、多くの国で象牙の国内取引が禁止されています。
象牙の密輸と日本について
日本国内では象牙の取引が合法
日本国内では、象牙市場は合法となっています。ただし、日本の象牙市場には、「密輸とは無関係」とする意見と「象牙の違法取引の拠点」とする意見があります。
日本政府の見解としては、象牙の国内市場はワシントン条約以前に輸入されたものであり、密輸とは無関係としています。その一方で、ネットオークションやフリマサイトなどで取引されている象牙は、違法性のものもあるとの見方もあるのです。
日本国内から密輸されるケースがある
日本に象牙が密輸されるケースだけでなく、逆に日本国内から海外に密輸されるケースも存在します。もちろん、日本から海外へ象牙を持ち出すのは、ワシントン条約で禁止されています。
しかし、日本から違法に輸出された象牙は、2011年~2016年の間で2.4トン以上との報告がされているのです。この中には大規模なケースもあり、犯罪組織が日本から象牙を密輸していることが考えられます。日本国内では象牙市場が合法であることを利用し、多くの象牙を取得して海外に密輸しているのです。
このことから、日本が象牙の違法取引の拠点になっているとの意見も、あながち間違ってはいないと捉えることができます。
日本国内の象牙市場も禁止になる恐れがある
日本国内では、違法取引を無くすように努力をしています。象牙取引規制のために、業者の届出を義務化しており、全形が残っておる象牙は登録票が必要となっています。
しかし、それでも密輸などの違法取引は無くなっていません。それらのことから、今後日本の象牙市場については禁止になる恐れがあります。世界で最も象牙の需要がある中国は、2017年に国内市場を閉鎖しています。
そのため、今後日本にも厳しい目が向けられる可能性が高く、国内市場の存続についても不透明となっているのです。象牙市場が合法のうちに、売買をするべきかもしれません。
まとめ
象牙は、ワシントン条約によって国際的な取引が禁止されています。しかし、お金目当てで密猟・密輸は後を絶ちません。
しかも、アフリカではテロ組織や武装勢力の資金源となっているとされているのです。また、日本の象牙市場は合法ですが、密輸など違法取引の拠点との指摘があります。
実際に、日本から海外に密輸しようとしたケースが数多くあり、2011年~2016年の間で2.4トン以上もの違法な輸出がされていることがわかっています。
そのため、今後日本の象牙市場がどうなっていくのかは不透明です。ですから、早めに象牙の売買はしておくべきかもしれません。