ワシントン条約締約国会議
2016年に南アフリカ共和国のヨハネスブルグにて第17回ワシントン条約締約国会議が開かれました。
この会議では象牙の取引やアフリカゾウについて各国の政府代表やNGO団体などによる議論が行われました。
規制緩和と規制強化の提案
近年密漁の急増している東アフリカの国はアフリカゾウの商業取引を全面禁止にしたい規制強化の提案を、逆にジンバブエやナミビアなど比較的密漁被害の少ない国はアフリカゾウの象牙の輸出をしたいと考え規制緩和を提案しました。
規制の強化を考える国はアフリカゾウの密漁だけではなく密漁組織と戦い命を落とす人も少なくないのでその犠牲をなくすためにも世界で取引の禁止が必要だと主張しました。
緩和を求める方はアフリカゾウを守るためには地域の協力が必要でそのためには経済的な部分も必要になってくるので一定の輸出が必要だと主張しました。
今回の緩和と強化は平行線のまま議論が進みどちらも否決で終わってしまいました。
国内市場の閉鎖
ですがこの会議では違法取引や密漁に関与している国内市場には閉鎖を求めるという取引に関する合意がありました。
これは中国やベトナムなど一部の国々で密輸、密漁で入ってきた象牙が消費、取引されていることをうけたもので、この合意にはアメリカや中国が受け入れました。
2017年に入り世界最大の象牙の密輸市場と言われていた中国が象牙の国内取引の全面禁止(すべての象牙、加工品なども含む)を決めました。
この野生動物の保護の姿勢は世界中から高く評価されました。
現在中国はアフリカへの経済進出を進めており各国との関係強化を狙う目的もあったと言われています。
また2018年4月にはアメリカ中国に続きイギリスも象牙取引の全面禁止を発表しました。
イギリスは昔旧植民地(アフリカ・アジア)から多くの象牙を輸入し加工していた歴史がありました。
ですが今でも美術品として商売をしている方もいます。
象牙のすべてを禁止にすべきという声も難しい部分があります。
日本の象牙取引
私たちの日本はこの国際的な取引禁止の流れの中、国内取引の継続を主張しております。
日本国内では象牙を使った製造産業が今でも活発です。
有名なところでは象牙の印鑑や楽器類のパーツなどで多くの象牙が使われております。
日本政府は国内の象牙は厳格に管理されており、日本国内の象牙の売買取引が密漁や違法取引につながっていることはないと主張しています。
世界自然保護基金等の調査では、日本から中国へ違法な輸出の実態も確認されているようです。
今年に入ってからも違法取引の摘発がありましたね。このような事実から日本には厳しい視線が向けられています。
ですが我々からすると今まで買い取ってきた象牙は皆さま40~50年以上も前に購入された象牙ばかりで間引き目的で輸入された象牙しか取り扱っておりません。
密漁で入ってきた象牙らしいというような噂すら聞いたことがございません。
まとめ
日本では昔から彫刻家の方など伝統工芸として象牙を扱ってきた歴史があります。
今でも伝統工芸士のかたがいますし完全に取引禁止となってしまうと色々な問題が起きそうですね。
世界的には売買禁止の流れになっていますし、大国のアメリカ、中国、イギリスが象牙取引禁止を決めていますので、日本はすこし風当たりが辛いですがぜひ伝統工芸は残してほしいですね。
とはいえ国際的な流れに逆らえなくなり取引禁止となってしまうと現在一般家庭にある象牙製品は全て価値がなくなってしまいます。
もし将来的な不安や今後の状況など気になる点がございましたらラフテルまでお気軽にお問い合わせください。